本番アルバム

2013年2月17日日曜日

おとな船長、脚本会議に向けて。

劇団フレフレ号は2月23日に、今年児童館で行う作品の方向性を話し合う脚本会議をします。それに向けておとな船長こと丸房君子が何を話すのかをここに書きますね。フレフレ号の活動を知っている人、そうでない人も気軽にご意見下さい。特に何が言いたいのか分からないよ!といった言葉を大募集!


以下おとな船長の脚本会議に向けての話。

劇団フレフレ号一年目の活動を終えて、二年目の脚本会議が開かれます。
 処女公演を経て、われわれが、これから、児童館での演劇を「続けて見る」上に、どういふ態度を取るべきか。

「我々の使命は、如何なる形に於てなされるか、今我々自身予想することは出来ない」と、嘗て築地小劇場の首脳の一人は宣言しました。
これはたしかに、さもあるべきことです。

 それなら僕は、劇団フレフレ号の出現に大なる期待をもつてゐる演劇愛好者の一人として、今、何を言ふことができるでしょう。


一年目の大きな問題としては「何か知らを探し求めてゐる」ことに、大きな好意と尊敬はもてゝも、たゞそれだけのことに不断の興味がもてるものではなく、それも、その「探してゐるもの」が何であるかゞ、わからないのでは前に進むことができなくなってしまうというものだったと思います。

諸君、これは悲しむべきことですよ。つまり演出者の意図はたとへ承認すべきものであつても、その意図の実現に必要欠くべからざる材料の選択、準備、整理を一人ひとりの裁量で行ふことができかなった、承認したはずの青写真を全員が所有できなかったのですからね。

演出家万能の時代は既に過ぎ去りました。それでも、さういふ批難を恐れずに、演出家の腕一つで、相当見せられるやうな脚本のみをなぜ演らなかつたか。さういふ脚本があるか無いか、それもまあ問題にすれば問題になるでしょうが、勿論比較的の話、「公演」といふことを考へる時の話です。「公演」は「努力を見せる」ものではなくて、「出来上つたもの、少くとも出来上つた部分を見せるもの」でなければならない、裏を返せば「努力せずとも良い」ということです。本年度、近々半年の間に、実際、何も出来るものではありません。

 僕は徒らに理想論を唱へたり妄想を語るものではありません。まだまだ二年目、色々の事情で「公演」のために費やせる時間は少なくなってしまうでしょう。たゞ、その場合に、その「公演」が「公演の目的」に反するやうなものであることを避けるのが賢明なやり方だと思ふのです。諸君、われわれは「公演」のために演劇を行ふものではありません。その「公演」を行った先に「目的」があるのです。

一年目の収穫は大でありました。

それを受けて、二年目の「公演の目的」とは。

☆ここで参加者の皆さんに質問をします
☆自分が参加する目的 得たい経験などでもかまいません。



さて、本日脚本会議を行ふためにも、岸田國士という人の演劇一般講和から、脚本とは何かという話を引用させていただきます。

 それでは、演劇に於ける脚本の位置はどうかと云へば、それは音楽に於ける楽譜である。楽譜の演奏が音楽と呼ばれるやうに、脚本の演出が演劇と呼ばれる。従つて演劇の価値は、脚本の価値によつて根本的に左右されるものであります。此の論理は一応、註釈をつけて置く必要があります。といふのは、如何に優れた脚本でも、演出次第ではつまらない演劇になるではないかといふ反駁が出ないとも限らないからであります。然し、此の反駁は更にかういふ反駁を受けはしませんか。即ち、それならどんなに低級な脚本でも、演出さへ巧みであれば、優れた演劇になり得るか。さうは行きません。そこで、やつぱり優れた演劇とは、優れた脚本の優れた演出といふことになります。然し、優れた演出といふことは、結局脚本を完全に舞台の上に活かすといふこと以外に何もないのですから、脚本の演出は、或る程度以下のものであることは許されない。つまり、さういふ演出は、演出と称し得べからざるものであると認めなければならないのです。
 これで、脚本の価値が、演劇の価値を根本的に左右するといふ理由が、判然したらうと思ひます。
 脚本の価値が、演出を離れて存在し得るに反し、演出の価値は、脚本を離れて存在し得ない。これは、近代演劇運動の決定的な発見であります。

引用終了。諸君、われわれは、この言葉をどう受け止めるべきでしょう。

☆二年目の脚本と演出案を丸房から提案します。

「さびしい王様」


パーティーションを解放し一室まるまる使います(児童館側に相談要)
窓と言う窓にダンボールなどを張り真っ暗闇にします(舞台装置係に指示出し要)
一人ひとり入場し、個人として観劇をするように仕向けます(客席係の方に指示出し要)

開場と同時に会場に隣接された小さな庭、つまり二つある外との出入り口にて俳優が五十音を明朗に群読しています。

観客は暗闇の中で、外から聞こえてくる群読を耳にし、非日常を体験します(してもらえるように努める)

開演:常設してある跳び箱の中に照明を仕込み、そこからもれ出る明かりに照らされて石膏塗りの男(丸房)が物語りを始めます。

昨年は日常の延長を行ったので、今年は非日常体験を提供したいという私の気持ちを大切にした結果
通常入る荒井館長の前説はいれたくありません。

五十音が止むと開演の合図 丸房が語り始めます。

・ さ ァ か た ろ ォ だァれェも しらない も の がたり

 さびしい おうさま

 が すんで いた どこに?
 とおい とおい くに には
 たくさんの ひとが いました
 が おうさまは ひとり ぼっち でした
 「どうして ひとりぼっち なんだろう」
 と おうさま は 山の上の 二人を みて おもいました

(跳び箱の上にこっそり外から帰ってきた男性俳優二人)

 「よし きょうもはたらいたな」
 「ああ 世界中に言葉を届けたぞ」
 「はたらいたから おなかがへったな」
 「よし いっしょに ごはんをたべよう」
 「そうだな しまった ごはんを わすれた」
 「しかたない はんぶんに しよう」
 「それだと おまえの おなかが へったままだ」
 「きにするな ふたりで たべたほうが きもちが いい」
 「そういうものか ありがとう」
 「たべよう たべよう」

 おうさまは いっぽも うごけませんが
 この くにの ことなら だれよりも しっています
 おうさまは この二人が ともだち だったので
 とても うらやましく おもいました
 「どうして ひとりぼっち なんだろう」
 おうさまは さびしくなったので うたを うたい ました

(俳優たちが現れて、面白おかしく動きながら群読します。)

この道はいつか来た道
ああ そうだよ
あかしやの花が咲いてる

あの丘はいつか見た丘
ああ そうだよ
ほら 白い時計台だよ

この道はいつか来た道
ああ そうだよ
お母さまと馬車で行ったよ

あの雲も(注)いつか見た雲
ああ そうだよ
山査子(さんざし)の枝も垂(た)れてる

 おうさまは すこしだけ さびしくなくなりました
 それは いままでに みた たくさんのひとたちの えがおを
 おもいだして こころが あたたかく なったから
 それでも つめたい かぜが ふくと
 そんな あたたかさ では たらなく なって しまいます
 「どうして ひとりぼっち なんだろう」
 と おうさま は たのしそうに はなしを している 二人を みて おもいました

(女性俳優二人が寒そうに二人で発話している)

 おてんとさまのお使いが、
  そろって空をたちました。
  みちで出逢ってみなみ風、
  なにしにゆくの、とききました。
  
  ひとりのお使いいいました、
  「ひかりの粉を地に撒くの、
  みんながお仕事できるよう。」

  ひとりはほんとに嬉しそう、
  「私はお花を咲かせるの、
  世界をたのしくするために。」

  ひとりのお使いやさしい子、
  「私は清いたましいの、
  のぼる反り橋かけるのよ。」

  残ったひとりは寂しそう、
  「私は、影をつくるため、
  やっぱり一しょにまいります。」


 おうさまは いっぽも うごけませんが
 この くにの ことなら だれよりも しっています
 おうさまは この二人が ともだち だったので
 とても うらやましくおもいました
 「どうして ひとりぼっち なんだろう」
 と いって おうさまは たちあがり ました

(丸房 すっくと立ち上がる)

 すると おうさまの もとに さきほど
 ひとりの こどもが くるくるくると
 まわりながら やってきました
 おうさまは いいました
 「どうして ひとりぼっち なんだろう」
 すると こどもは いいました
 「おうさま の ともだち に なりにきました」
 おうさまは これをきいて よろこんで
 よろこんで よろこんで よろこんで
 よろこんで よろこんで よろこんで 
 たくさんの おはなしを しました

(丸房 英語で3分くらい何かの戯曲の引用)

 そして こどもは うごかなく なって しまいました
 おうさま が よろこんで おはなしを しすぎて
 しまった からです
 おうさまは たいへん かなしくなって
 もう ともだち を つくらない から
 このこどもを いきかえらせる ことに しました
 こどもは くるくるくると まわりながら
 かえって いきました
 「どうして ひとりぼっち なんだろう」
 と いって いた おうさまは
 「ひとりぼっち で いなくては いけない」
 と おもうように なりました

 とおくから こえが きこえて きます
 これは はたらく おとなたちの こえ です

ひさしぶりで雨がやんだ
雨あがりの空地にでて木を鋸《ひ》きながらうたひだした
わかい木挽はいい声を張りあげてほれぼれとうたひだした
何といふいい声なんだ
あたり一めんにひつそりと
その声に何もかもききほれてゐるやうだ
その声からだんだん世界は明るくなるやうだ
みろ、そのま上に
起つたところの青空を
草木《くさき》の葉つぱにぴかぴか光る朝露を
一切のものを愛せよ
どんなものでもうつくしい
わかい木挽はいよいよ声をはりあげて
そのいいこゑで
太陽を万物の上へよびいだした


 とおくから こえが きこえて きます
 これは うたの すきなひとたちの こえ です

たけのはに-おとはさえたの-あらしかな

くさきそこほる-つきのしたつゆ

にはにけさ-よはのしくれの-あとみえて

しかふむみちに-つつくやまさと

うつりゆく-ふもとののへの-あきのいろ

ひかけほのめく-うすきりのそら

かせわたる-たのものうへの-くもはれて

たたひとつらの-はつかりのこゑ

ゆふくれは-つりにといつる-あまをふね

わつかにみゆる-おきのとほしま


 おうさま も いっしょに うたいたい とおもいました

 「ひとりぼっち で いなくては いけない」

おうさま は だれかと おはなしが したいと おもいました

「ひとりぼっち で いなくては いけない」
 
やまのうえの 二人

「おれたちは そろそろ ひとりに なろう」
「じつは おれも そうおもっていた」
「おまえとはたらくと しごとが はかどる」
「つらいことも かなしいことも
たえられる」
「それでもひとりに なろう」
「ああ ひとりになろう」

おどろきました 王様は
「ひとりぼっちで いなくては いけない」
といいつづけていたので
くにの ひとたちも そう
おもうように なってしまったのです

おうさま は しんから さびしく なって しまいました
あんなに なかのよかった ひとたちが はたらいてばかりで ちっとも あそばなく なってしまったからです

(冒頭のように五十音)

もう だれも おしゃべりを
しないのでしょうか
くにの ひとたちは ひつようなことしか 話さなく なってしまいました
はたらいてばかりで あそばなくなってしまいました

それでもたまにはきこえてきます

(女性俳優二人が寒そうに二人で発話している)

 おてんとさまのお使いが、
  そろって空をたちました。
  みちで出逢ってみなみ風、
  なにしにゆくの、とききました。
  
  ひとりのお使いいいました、
  「ひかりの粉を地に撒くの、
  みんながお仕事できるよう。」

  ひとりはほんとに嬉しそう、
  「私はお花を咲かせるの、
  世界をたのしくするために。」

  ひとりのお使いやさしい子、
  「私は清いたましいの、
  のぼる反り橋かけるのよ。」

  残ったひとりは寂しそう、
  「私は、影をつくるため、
  やっぱり一しょにまいります。」

おうさま は それを耳にすると
「ああ ほんとうに ひとは ひとりでは 生きていけない」
といって  おうさまは たちあがり ました

(丸房 すっくと立ち上がる)

 すると おうさまの もとに いつかの
 ひとりの こどもが くるくるくると
 まわりながら やってきて
 おうさまに いいました
 「どうして ひとりぼっち なんだろう」
 すると おうさまは いいました

 「わからないなあ」

 こどもは これをきいて よろこんで
 よろこんで よろこんで よろこんで
 よろこんで よろこんで よろこんで 
 たくさんの おはなしを しました

おうさまは いつまでも にこにこと それを きいていました

(こどもの声)
 
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 かすかなるむぎぶえ
 
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 ひばりのおしゃべり
 いちめんのなのはな
 
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 やめるはひるのつき
 いちめんのなのはな
 
おしまい

ワクワクドキドキごんぎつねタイムo(^▽^)o
\(^o^)/はっじまーるよー\(^o^)/

20分くらいごんぎつねタイムです。

外と会場をつなぐ二つの扉を大開放し、ぐるぐるマグロの回遊よろしく走り回ります。走れる人なら誰でも参加できます、目標は全員参加!!








  


 

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