本番アルバム

2013年9月2日月曜日

9月企画の稽古 1週目

9月の企画の演出を担当します、カゲヤマ気象台と申します。
普段はsons wo:(さんず・うぉー)というユニットで作品を発表していますが、今回故あってフレフレ号さんの企画に関わらせていただいております。

先週末、9月の企画公演の稽古が始まりました。
この公演では脚本を書かない予定です。俳優さんとのワークショップを通じて出てきた仕草や関係性を構成して、短めのパフォーマンスにしていきます。
なので稽古始まりの今週は、そのためのネタ集めです。


今回モチーフにするのは「ウルトラマン」そして「怪獣」です。
どうしてこのモチーフになったか、というと、その「生物の合理性に見合わない」動きがとても面白いと思ったからで、ウルトラマンと怪獣の戦いにはとても無駄が多いし、一見なんだかよくわからない。奇妙だ。それは具体性の論理ではなくて、ある抽象的な思考の部分から生まれてきた、動きや質感の「イメージ」であって、見る側の脳の働きに直接作用していくものだと思う。そのありようを、この小さい人間の身体から出発して、その最小限のところで獲得してみよう、そういう試みです。
ちなみに上の写真は怪獣の動きをみんなで真似しているところです。

最終的な目標は、ただ怪獣やウルトラマンの真似をするのではなく、それらの最小限の身振りを見つけて、「これさえやればだれでも怪獣に見える」というものを作ること(ウルトラマンも怪獣の一種だと思っています。なにしろ、あまりに動きが奇妙だ)。そして、「怪獣の真似をしようとする」のではなく、ただその身振りを「やってみる」ことによって、どうしようもなく怪獣に「なってしまう」さま、をパフォーマンスにしていきたい。

そこらへんにいるようなただの人間でも、日常の動きを離れて、怪獣的な「身振り」をふとやってしまうだけで、それから怪獣に「なってしまう」。その移行は、とても原始的な演劇的瞬間になるし、そういったものを子供たちにも体験してほしい。そんなことを考えながらやっております。


さて、土曜日はひたすらウルトラマンの映像を見ながら、どんな怪獣がいて、どんな動きをしているのかを研究し続けたのですが、日曜日には実際に動きながら、身振りをさぐっていきました。
その怪獣の、一番目につく特徴、それだけを拾って、ひとつかふたつのシンプルな動きをつくる。バルタン星人のハサミの使い方、ガラモンの指の動きなどを研究して、自分の体で体現していく。
そして、それをすべて「型」のようにパターン化していく。ウルトラマンのキック、倒れてからの起き上がり方、などを、いちいち決めていく。全身ではなくて、体の一部だけを使う型です。全身を使ってしまうと、結局怪獣の真似になってしまって、純粋に怪獣を体現することができません。真似をしている限りは、偽物だからです。


そして、その動きを使ってパフォーマンスを作ってみます。「蚊に刺されたところをかいているうちにガラモンになってしまう」「自慢されてイライラしているうちにウルトラマンになってしまう」「最小限の努力でできるバルタン星人の瞬間移動」などなど。


試行を繰り返して一日が終わった感じですが、来週からは具体的にシーンを構成していきたいと考えています。
公演が終わったあと、子供たちが怪獣の動きを真似してやってくれたらいいな。

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